▼国王SUNKINGさんの記事

2008年06月25日

第二章

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「じゃじゃじゃん」
だいぶはしょられた「ロックン・ロール・ミュージック」が終わる。今でも、何故フルコーラス演ってくれなかったんだろう、と思う。間を置かず「シーズ・ア・ウーマン」が始まった。おびえはだいぶおさまってきていた。なにしろ、一緒に来た友人とは席が遠く離れ離れ。周りは年上のおねえさん(?)たちばかり。当然、僕はまだ童貞だった(ん?関係ない?)。おまけに、前座が終わって、ビートルズ登場というところで警官たちが通路という通路に入り込んできて座り込んでいる。その警官たちが、E.H.エリックが出てきて「それでは…」とアナウンスし始めた時、最前列、僕のすぐ前、の女性たちが紙の横断幕を広げた瞬間、「ダメだ・・ダメだ」と横断幕を破り、むしりとる。泣き始めた人もいた。もっとも、その人たちも4人分の椅子に5人座っているというワザをやってのけてはいたが。そんな中で、僕は、心細く、チンと座っていたのだ。

短めながら、熱唱の「シーズ・ア・ウーマン」が終わるとポールがそのまま次の曲の紹介に入る。「Thank you..Do-Mo !」あの「ザ・バーズ」の「リムニーの鐘」からヒントを(?)得たというギター・リフが響く(あとから知ったことだけどね)。先の2曲より、少し控えめな喚声があがる。隣の女性がちらちらと僕の望遠鏡を見ているのに気が付いた。その人も双眼鏡を持ってきてはいたのだが、僕は黙って望遠鏡をさしだした。その人は、「恋をするなら」が終わるまでずっと、望遠鏡を覗いていた。ジョージのファンだったのかもしれない。曲が終わると、「ありがとう。すごく大きく見えた」と返してくれた。丸い、5センチの、大きな世界が、その人の記憶に今でものこっていてくれたらうれしいのだけれど。

そんなこともあって、少し気持ちに余裕の出てきた僕はステージから目を離し、向かいの客席を見上げた。あれ?もうコンサートが始まってるのに上のほうがスカスカだ。見まわすと、全体的に2階席の後ろのほうの密度がうすい。みんな前へ…。これるはずがない。親や学校に止められて、来れなかった人がたくさんいたんだろうか?でも、上のほうばかりだ。ビートルズって、僕らが仲間内で騒ぐほど、世間が騒ぐほど、人気があるわけじゃないんだろうか。でも、追加公演を2回も…。それにこの公演は追加公演じゃないのに…。僕の応募したハガキは全部はずれたのに…。

[このスカスカ状態については、竹中 労 さんの編集した「ビートルズ レポート」に詳しく書かれている。まだ、売っています。原宿の「GET BACK」にもあるのを見ました。ただ、読んでいない方にお薦めはしません。ファンの立場から読むと、絶対、怒り、吐き気をもよおすと思うから。僕もこの本を読んで、何故、ビートルズを好きでもない同学年の男が、コンサートを観た感激を、コンサートの半券を見せびらかしながら周りに話していた友人と僕に「何だ、そんなもの何枚も持ってるよ」と本当に切り取られていないB席券を見せつけてきたことがすごく、頭にきながら、納得できた。]そう、僕の出した ライオン油脂 へのハガキは全部はずれたのだ。

さて、では、どうやって…。一緒に行った友人、そいつから買ったのだ。その友人は、いわゆる、羽振りのいい町工場の社長の一人息子。こずかいは我々の標準よりたくさん持っていた。あるアーティストの公演を観にいくと優先的にビートルズの公演の券を手にいれられる、という抱き合わせ販売のものを2公演見に行っていて、2枚分の権利を手にいれていたのだ。僕はそこに突っ込んだ。運良く、その友人も7月2日しか行けないということだった。2100円の券を2500円ということで話しがついた。今から思うと信じられない安いプレミアだが、その当時は、400円でシングル盤が買えたのだ。僕にとっては大出費だった。「いいよ、君に売るよ。○○君や××君からも、欲しいって言われてるんだけどね」今思うと、貧乏職人の末っ子が一所懸命ビートルズを聞いているのに同情してくれたのだろう…。

「Single over here,..Maybe,..this song called…」ジョンがゴリラのまねのような、胸を叩くおどけた仕草をしながら曲の紹介をしている。「デイ・トリッパー」だ。いままでより、もっとこもった音でイントロが始まった。
 
posted by 国王SUNKING at 16:33 | Comment(0) | B40さんのビートルズ日本公演
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